0739-24-5333

和歌山県田辺市宝来町24-1

人工関節センター

1. センター長挨拶

金本成煕
整形外科部長・人工関節センター長
金本成煕
平成24年 9月1日より田辺中央病院整形外科部長に就任いたしました。現在まで専門とする人工股関節、人工膝関節置換術を約800例、こちらに就任してからは約1400例、計2200例以上の手術を行ってきました。
今後も専門とする人工股関節、人工膝関節手術に限らず、様々な整形外科疾患の治療も行っていく所存です。整形外科医として地域の医療に貢献し、又専門とする人工関節手術を更に一層発展させるべく今後とも努力してまいります。
経歴

1993年

  • 三重大学医学部卒業
  • 大阪市立大学医学部整形外科入局

1995年

  • 大阪南病院整形外科レジデント

1998年

  • 医療法人橘会東住吉森本病院勤務

2001年

  • 財団法人白浜医療福祉財団白浜はまゆう病院勤務

2012年

  • 医療法人研医会田辺中央病院整形外科部長・人工関節センター長
  • 日本整形外科学会認定整形外科専門医
症例数、2021年度までで停止
掲載するか要確認

2. ひざ関節について

●人工膝関節置換術(TKA,TKR)
正常な膝と軟骨がすり減った膝
人工膝関節置換術は英語で「Total Knee Arthroplasty」とか「Total Knee Replacement」と表記され略して「TKA」や「TKR」と言われています。変形性膝関節症や関節リウマチなどの病気で膝の痛みが非常に強くなることがあります。こうした痛みを和らげるため変形した膝関節の表面を取り除いて人工膝関節に置き換える手術です。まず、膝の皮膚を15~20cm切開し、膝蓋骨の内側から関節を開きます。続いて関節の壊れてしまった骨・軟骨の部分を切除して人工関節をはめ込みます。人工関節は金属およびポリエチレンで出来ていて、使用する人工関節は障害の程度によって異なります。障害の程度が軽い場合は骨の表面だけを削って置き換えますが、膝関節の破壊が進み、障害が著しい場合には、すり減った骨を補充するために複雑な膝関節部品が必要になります。
人工膝関節①
人工膝関節②

3. 股関節について

●人工股関節置換術(THA, THR)
傷ついた股関節
傷ついた股関(骨盤と大腿骨の接合部
人工股関節置換術は英語で 「Total Hip Arthroplasty」「Total Hip Replacement」と表記され略して「THA」や「THR」と言われています。程度が軽い場合は、投薬療法や理学運動治療といった保存的療法で症状を和らげることができますが、関節リウマチや変形性股関節症、大腿骨頭壊死症などの疾患により激しい痛みが継続したり、股関節の動きに強い制限があり歩行などの日常生活動作に改善が見込めない場合、あるいは股関節が著しく破壊された場合に人工股関節置換術などの手術が必要となります。 傷ついた股関節(骨盤と大腿骨の接合部)を関節の代替として働くインプラントと呼ばれる人工股関節部品に置き換える手術であり、人工股関節にはセラミック、金属、ポリエチレンなどの種類があります。手術では、まず皮膚切開し、筋肉を分けて関節を開いて大腿骨の骨頭を取り出します。続いて特殊な精密器具を使って骨の損傷面を取り除き、金属およびポリエチレンでできた人工股関節に置き換えます。
人工膝関節①
人工膝関節②
人工股関節置換術を行えば、関節の痛みのもとになるものを全部取りのぞくことができるのがメリットです。手術の主な合併症としては感染、脱臼、血栓症などのリスクがありますので、医師からの説明を受けよく相談し手術を行うこととなります。
●MIS人工股関節置換術
当院では、MIS人工股関節置換手術を行います。MISとは「Minimally Invasive Surgery」の略で通常の人工股関節置換術に比べ、傷口が小さく筋肉をできるだけ切らないように手術を行うことから最小侵襲手術、小切開手術などと呼ばれています。MIS手術では術後の痛みも比較的少なく、軟部組織(皮膚など)や筋肉も通常の場合と比べ回復が早く、入院期間の短縮が期待でき、日常生活に早く戻ることによる負担軽減につながります。また、筋肉や軟部組織への負担も少ないことから、リハビリを早期に開始することも可能となります。ただ、最小侵襲による効果は必ずしも確約されているものではなく、期待できるという可能性の範囲に留まっているものであります。
人工股関節置換術には輸血を必要としますが、手術前から患者様ご自身の血液をあらかじめ貯めておき、手術による出血をご自身の血液(自己血)で補います。術前に貯血したMIS手術の場合ではほぼ輸血を回避することができます。

4. Q&A

●人工膝関節・股関節置換手術後の経過は?
骨の強さや人工関節の安定性により進み方に違いはありますが、術後翌日から歩行練習を開始し約2~4週間で退院となります。一般的に9割以上の方は15年以上もつといわれていますが、まれに5年以内でも人工関節と骨の間がゆるんでくることがあり、ゆるんだ場合は入替え(再置換)手術が必要な場合があります。再置換手術を受けることになってもほぼ元通りに復帰することが可能ですが、緩みの程度によっては長期間に亘って日常生活動作の制限を受けることもあります。退院後1年は3ヵ月毎、2~3年間は半年毎、その後は年1回受診し経過観察します。
●手術にかかる時間は?
手術は感染を予防するためクリーンルームを使用して行い、通常1~2時間程度で終了します。ただし、関節の破壊が高度の場合や関節の動きが非常に制限されている場合は2時間以上かかることもあります。また、術前・術後は処置、麻酔、レントゲン写真をとるなど多くの操作があるので、病室を出てから3~4時間くらいかかることとなります。
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